モノづくりにおいて外観検査は不良品の流出を防止するだけでなく部品や製品の品質や信頼性を保つための重要な工程として行われます。また不良が発生している原因を突き止めて不良発生を予防するという目的もあります。外観検査の項目は数多くありますが、その中に色ムラ検査や輝度変化検査があります。
この検査は食品の生産ラインや自動車工場など、さまざまな業種で行われています。樹脂製品は空気やガスで断熱圧縮するときに熱が生じて樹脂が焼けて変色したり、着色材の分散不足で色ムラができたりします。
色ムラができてしまうと製品として流通させることができず廃棄処分となるためコスト的にもダメージが大きいです。また自動車の塗装ラインでドアなどに色ムラや輝度が異なっていると、そのドアを取り付けることができなくなってしまいます。
色ムラ検査や輝度変化検査の自動化には、画像処理技術が用いられるケースが一般的です。
画像処理アルゴリズムが明暗のノイズ除去や平滑化、エッジ検出、カラー調整などの処理を行った後、特徴量抽出やパターンマッチングなどの解析手法を用いて色ムラや輝度変化を数値化し、基準と比較して合否を判定します。
現在の外観検査現場では、ルールベース検査が主流です。ルールベース手法では、検査員が事前に外観の異常や不良の特徴に関するルールを定義したうえで、センサー技術を駆使して製品の外観を検査・判定します。
色ムラや輝度変化を検査するためには、画像センサーを用いるケースが一般的です。マルチスペクトル照明を搭載した画像処理システムを活用すれば、製品表面の微細な色ムラや輝度変化を検出できます。
色ムラや輝度変化を含む外観検査現場では、AIのディープラーニング技術を活用した検査が普及しつつあります。
自社の製品や品質ポリシーに合わせて、ディープラーニングによる異常検知を導入したうえで念のため目視検査もおこなう、AI検査で異常と判断された対象物だけ目視検査するなど、従来の検査方法と組み合わせて運用するケースが一般的です。
従来の色ムラ検査や輝度変化検査は目視検査がメインでしたが、色ムラや輝度変化を人間が見つけるのは難しく検査員によるばらつきもありました。画像処理システムでの検査もしていますが、光沢のある表面の色ムラや輝度変化を検知することが不可能でした。
しかし最近では画像処理技術の進化によって自動外観検査装置での検査が可能になっています。画像処理システムに搭載されたマルチスペクトル照明は、これまでのカラーセンサでは検出できなかったわずかな色ムラや輝度の違いも検出できます。
8波長のLED照明とカメラを使って、これまでのRGBカラーのカメラよりも大幅にカラー判別能力が向上し、わずかな色ムラも正確に判別、表面の凹凸やハレーションの影響なく検査ができるようになりました。
撮像した画像データを解析して塗装などの色ムラや輝度変化を判定します。まず対象物に光を照射し高精度カメラで対象物を撮影。撮影した画像データから検査対象部分だけを切り出し、画像のノイズを除去して鮮明な画像に設定。対象物の色を測定し測定基準に適合しているか判定し、判定結果が基準内なら良品、判定基準外なら不良品となります。
ディープラーニング(深層学習)技術を活用したAI外観検査は、従来の目視検査に代わる新たな検査手法です。AI外観検査の導入により検査精度が向上すれば、検査工数や人的コストを削減できます。また、検査員の作業負担が軽減される、生産性が向上するなど、従来の目視検査が抱えてきた課題の解決につながります。
これまで人の目で確認していた外観検査を自動化できる「AI外観検査」。とにかく外観検査を省人化したい企業も、自動化して自社製品の品質を担保できるか心配な企業も、AI外観検査の導入前に仕組みを理解したうえで導入することで、うまく活用することができます。
本サイトでは、AI外観検査のしくみからメリット、初めての導入におすすめの開発会社までをすべて紹介しています。
自動車のドアやボンネットなどの塗装は、部品ごとに行われます。これまでの色ムラ検査や輝度変化検査は主に目視や測色計によって行われてきました。しかし目視では検査の漏れ、測色計では測定範囲が狭いなどの問題がありました。
最近では人の目に極めて近い感度のカメラを使った測定機器によって隣接する部品の色合わせや色ズレの検査を非接触で行うことができるようになってきています。
パンフレットなどの印刷物はこれまで目視検査でチェックされていました。しかし大量に印刷されるので検査員の経験が必要で手間と時間もかかっていました。また全てを検査することも不可能でした。
最近では高精度カメラと画像処理技術の進歩によってマスター画像を元にして印刷の色ムラなども高速で正確に検出できるようになり印刷物の品質が向上しています。
ペットボトルのキャップなど樹脂成形品は表面の色の変色や色ムラが出たりすることがありますが、これは成型中の温度が変化することや着色剤の分散不足で起こります。
合成樹脂は限度以上に加熱すると変色し、さらに過熱すると黒く焦げてしまいます。これまで色ムラ検査は目視がメインでしたが、検査員によって判定が異なることや、生産ラインの高速化で目視検査が難しくなっていました。
最近では専用検査装置や画像処理システムで検査の自動化をする工場が多くなっています。
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AI外観検査は、製品や開発会社によって自動化できる対応領域が異なります。
ここでは、自動化したい範囲に合わせておすすめの開発会社を紹介しています。
品質の一定化やヒューマンエラーに課題を感じる企業におすすめ。定量化しづらく、思わず人の判断に頼ってしまっている検査項目も丁寧に検証し、細かく定量化したうえでAIに判断させることが可能。
自社固有の要件をしっかりと採り入れて検査ラインを構築できます。
単純作業に人的工数がかかっている企業におすすめ。AIベンダーが保有する既存のAIパッケージに対して、自社の要件に合わせて判断基準をカスタマイズすることで、これまで統一化されていた判断が可能。
誰でも検査が可能であった項目を自動化することができ、オーダーメイドに比べて比較的短期間で導入できます。
検査そのものの工数から削減し、社員の負担を減らしたい企業におすすめ。画像データを基に、定量化した判定が可能。細かなカスタマイズの対応は難しいものの、比較的低価格で導入することができます。
異常判定が出た部品のみ目視で検査するなど、目視と自動化を使い分けて活用することが可能です。
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