「限度見本」とは、製品を検品する際に使われる見本のことです。製品が良品であるか、それとも不良品であるか調べる際に、その判断が難しい場合、限度見本が必要になります。限度見本があることで、製品の規格はもちろん、光沢や色つや、表面の粗さや傷などを、客観的に判断できるようになります。
限度見本が求められるのは、とりわけ人間の目視による検品シーンです。人の目によって検査が行われる場合、検査に携わる人によって判断精度にばらつきが発生してしまいます。また、たとえ同じ人間であっても、その日のコンディションによっては判断がずれてしまうこともあるでしょう。こういった検査における個々人の判断のばらつき、言い換えれば、属人化の防止を行ってくれるのが、限度見本なのです。
また、限度見本が必要なもうひとつの理由として、製造元と取引先との認識のすり合わせがあります。取引先が求める製品をしっかりと提供できるように、両社で限度見本を持つのです。
検品における見本には、例えば「標準見本」というものもあります。標準見本が、製品の図面通り正確に製造された見本である一方、限度見本は、良品と不良品の境目にある見本になります。
もし標準見本だけを検品で使用するならば、図面通りの正確さを実現できていない製品は、すべて不良品になります。製品として、実際に正常に機能するのであれば、若干の誤差を許容範囲として、良品として判断できるようにするのが、限度見本なのです。
さらに限度見本には、「合格限度見本」があります。これは、「ここまでの範囲なら良品」という限度を示す見本です。一方で、「ここから先の誤差は不良品」であることを示す「不良見本」もあります。良品と不良品を明確に区別するために役立ちます。
限度見本を作るには、製品の精度はもちろん、表示や台帳等の記載、取り扱い方法の設定から、さらには見直し・更新といった管理まで見据えて行う必要があります。
限度見本は、対象となる製品の現物はもちろん、写真と文章でも作成されます。良品と不良品のチェックで活用します。
限度見本の作成が顧客の要望である場合は、さらに顧客の承認を得ることも欠かせません。さらに、限度見本の管理ルールとして、限度見本の名称や管理番号、有効期限、保管場所などを社内で設定することも忘れずに行いましょう。
限度見本には、管理に必要な情報のラベルを作成して、貼り付けを行いましょう。ラベルには、名称、管理番号、有効期限などの記載があれば便利です。また現物に表示するにはしっかりと貼り付けを行いましょう。使用しない間はケースや袋などに入れて、そのケース等にラベルを表示することも有効です。
また限度見本の保管方法も、忘れずに設定しておきましょう。大幅な温度の変化が発生する場所や、強い日差しが差し込む場所などは、保管に不向きです。経時変化を前提に、管理運用を行っていきましょう。
保管中も、紛失や破損といったチェック項目もあわせて設定し、定期的に確認するようにしましょう。保管場所を決めることはもちろん、次に述べる、台帳への記載も有効です。
ラベルを貼り付けた限度見本は、管理台帳で管理しましょう。いざ使用する際に、保管場所がわからなければ困りますから、管理台帳には、それぞれの限度見本の保管場所を記載します。
そのほか、個々の見本ごとにラベルに基づいて、台帳記載を行いましょう。記載するのは、名称、管理番号、保管場所のほか、有効期限も必要です。有効期限が切れてしまった限度見本は、検品ミスの発生の原因になります。不良品を無駄に出してしまう、といったリスクもありますので、注意しましょう。
最後に、限度見本は適切に活用されているかどうか、定期的な見直し・更新を行う必要があります。また、製品の仕様をはじめ、さまざまな変更が施されている場合は、その変更を限度見本にも反映させなければなりません。
定期的な見直しを行うのは、限度見本が現場で使用されていない、写真が見づらく限度見本として機能していない、といった状況を把握するためです。検査にあたるスタッフが使いやすい、わかりやすい限度見本に、常に更新する必要があります。
設定した有効期限を過ぎた限度見本は、廃止しましょう。また、新しく限度見本を作成した際は、新規更新として、継続更新の見本とは分けて管理をしましょう。継続更新は、毎年ごとの更新が目安です。更新の記録は、台帳に残していきましょう。
ディープラーニング(深層学習)技術を活用したAI外観検査は、従来の目視検査に代わる新たな検査手法です。
AI外観検査の導入により検査精度が向上すれば、検査工数や人的コストを削減できます。また、検査員の作業負担が軽減される、生産性が向上するなど、従来の目視検査が抱えてきた課題の解決につながります。
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AI外観検査は、製品や開発会社によって自動化できる対応領域が異なります。
ここでは、自動化したい範囲に合わせておすすめの開発会社を紹介しています。
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自社固有の要件をしっかりと採り入れて検査ラインを構築できます。
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