製造現場などで製品の外観や品質をチェックするために欠かせない外観検査。この外観検査を行う際には、事前に「基準書」を作成しておく必要があります。基準書を作っておくことで、検査の精度や品質のバラつきを抑えることが可能です。では、外観検査の基準書はどのように作成すればいいのでしょうか。ここではそのポイントや構成について解説していきます。
外観検査基準書の作り方を説明する前に、まずは基準書の意味と目的を理解しておきましょう。外観検査の基準書とは一体何でしょうか?それはずばり、「製品の外観検査を行う際のルールブック」と定義することができます。
製品のチェックを行うにしても、各検査員がそれぞれに独自の基準と感覚で検査を行うなら、検査結果にバラつきが出てしまいます。そして、検査結果のバラつきは製品の品質のバラつきを生んでしまうことにもなりかねません。
こうした問題を防ぐためには、何を検査し、何をもって良否を判断するか、といった外観検査における一義的な取り決めをまとめたルールブックが必要です。そのルールブックこそが外観検査基準書になります。
それではここからは、外観検査基準書の作り方を解説していきます。基準書に記載する内容と構成についてみていきましょう。
まず、外観検査の前提となる「検査項目の定義」を明記します。検査項目には「外観」「形状」「構造」「キズ」「色味」「機能性」「要求仕様」「法規制」「工程能力」などがあり、それぞれをチェックしていきますが、各項目において良否を判断する基準が定められていなければ、検査クオリティにバラつきが出てしまい、統一的な見解を示すことができません。
従って、製品の状態についてどのように良否を判定するか、各検査項目において基準を定義しておく必要があります。この点は検査のクオリティを左右する大事な部分ですので、曖昧な表現は避けて明確な定義を記載しましょう。
続いて、具体的な「検査方法」について定め、その定義を記載しておきます。ある製品に対してどのように、何を用いて、どのぐらいの頻度で検査を行うのか、といった方法と手順を明記しておくことにより、検査クオリティを標準化することができます。
実際に用いる検査方法や測定器の指定、全数調査・抜き取りなど検査の頻度について、明確な取り決めを記載しておきましょう。
製造現場によっては、検査担当者を認定制にしているところもあります。一定レベル以上の技能が要求される外観検査においては、適正評価をクリアし必要な資格を有するものでなければ検査は行えない、という仕組みです。
このように検査担当者を認定制にしている場合は、基準書にその認定ランクや保有資格、適正評価の結果などを記載します。どのような人が検査を行うのか、検査担当者の概要と資質を明らかにするのが本項目記載のポイントです。
外観検査項目の中には、製品の色味や色むら、細かいキズ、異物など、状態を定量化しにくいものもあります。このように定量化しにくい項目については、品質のバラつきを管理したり分析できるグラフである「管理図」を用いて品質管理を行います。
定量化できない項目の品質を管理するための管理図には、「c管理図」「u管理図」「np管理図」「p管理図」といった4種類がありますので、この中で実際に使用する管理図の種類を基準書に記載しましょう。用いる管理図を決定基準は、「管理するのは不適合数か不適合品数か」「サンプルの大きさを一定にできるかどうか」の2点です。
不適合数とは、1つの製品において、あるモードの不良となる箇所がいくつあるかをカウントした値です。一方の不適合品数は、不良箇所を含んだ製品の数を指しています。
検査の結果、不良品が検出された場合の対応方法について記載します。実際に不良品が発生した場合、どのように処理すればいいのか。「不具合の手直しができるかどうか」「不良分析の必要はあるか」「不良品を保管する必要があるか」など、処置方法の具体的な基準を記載しておくことで、検査時に発生する混乱やタイムロスを減らすことができます。
上記内容以外に、検査における注意点などがあれば記載します。特になければ、その他の項目として、製造工場のライン名や工程名、製品名、製品番号といった外観検査の基本情報を必要に応じて記載できるでしょう。ただし、付随的な項目であっても内容は明確に記載することが大切です。
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