ゴム、樹脂、金属部品や製品などの加工の過程で発生した付着物や残留物のことをバリといいます。欠け・バリ検査とは部品や製品の仕上がりを検査するもので、成形時に発生した欠けやバリがないかどうかをチェックします。
製品に欠けやバリがあると使用するユーザーが怪我をするリスクがあり製造物責任法に関わる重大な問題となります。また部品から剥がれたバリが機械の動作部に入ってしまうと故障したり製品に傷をつけたりします。他にもバリや欠けがあることで部品の寸法が違ってしまい製品の完成度が低くなることもあります。欠け・バリ検査は良品と不良品を判断して不良品が流出しないようにするだけでなく、高品質な部品や製品を作る上でも重要な検査となります。
欠け・バリ検査の自動化では、画像認識技術と機械学習を組み合わせることで高精度な検査が可能となります。具体的には、製品の画像を取得し、コンピューターアルゴリズムが欠けやバリの特徴を学習することで、異常なパターンを自動的に検出します。
自動外観検査では、カメラや照明装置を使用して製品の画像を撮影し、画像処理アルゴリズムが欠けやバリを識別します。欠けやバリの位置や大きさ、形状などの異常パターンを事前に学習させることで、検査の信頼性と効率性が向上します。
現在の外観検査現場では、ルールベース検査が主流です。ルールベース手法では、検査員が事前に外観の異常や不良の特徴に関するルールを定義したうえで、センサー技術を駆使して製品の外観を検査・判定します。
欠け・バリ検査では、主に画像センサーが使用されます。画像センサーはカメラで撮影した画像を判別するセンサーで、カラー処理によって欠け・バリを判別できます。
欠け・バリ検査の自動化においては、従来の検査システムに加えてAIの活用が進んでいます。AIはルールベース検査と異なり、0から100までの検査ルールを設定する必要がなく、機械が自ら学習して新しいルールに適応できるのが大きなメリットです。
ただし現段階においては、「AI検査のみ」で完璧な外観検査を行うのは困難です。人間的な作業を代替できるのがAIの強みですが、人間と同じようにAIもミスを犯すケースがあります。
そのため、AIで代替できる作業はAIに任せて検査員の作業負担を減らしつつ、最終的には検査員が責任を持ってチェックするのがベストと言えます。
これまでゴム、樹脂成形品の外観検査は目視検査で行われていましたが、細かいスジや傷の発見が難しいだけでなく検査員による精度のばらつきも問題になっていました。また従来の画像処理システムは光沢のある表面のスジや傷、凹凸の検知も不可能でした。自動外観検査装置の画像処理システムで検査することで製造段階から色や形状などを細かくチェックでき、品質の良し悪しを判定できるようになります。
人間が行う外観検査は目で見て頭で考えて部品や製品を判定します。外観検査装置ではカメラなどの画像センサーが目となり、画像処理装置とソフトウェアが頭となります。そして数値化されたデータが判断基準となります。画像処理システムにはエッジ情報から輪郭を抽出して輪郭線からの乖離が大きい部分を不良品と認識できる機能が搭載されています。変形しやすいものでも正確に輪郭検査できるのでバリ、欠けのように、これまで検知が難しかった不良部分も正確に判別できます。
従来の画像センサ検査ではゴムや樹脂などの歪みなどがあるため計測が難しく検査結果にもバラつきがでていました。自動外観検査装置のエッジ欠陥検査ツールは数千点の輪郭情報をもとに製品を比較し、微妙な円形の歪みの影響を受けずにバリ・欠けなど高速検出できます。
ディープラーニング(深層学習)技術を活用したAI外観検査は、従来の目視検査に代わる新たな検査手法です。AI外観検査の導入により検査精度が向上すれば、検査工数や人的コストを削減できます。また、検査員の作業負担が軽減される、生産性が向上するなど、従来の目視検査が抱えてきた課題の解決につながります。
これまで人の目で確認していた外観検査を自動化できる「AI外観検査」。とにかく外観検査を省人化したい企業も、自動化して自社製品の品質を担保できるか心配な企業も、AI外観検査の導入前に仕組みを理解したうえで導入することで、うまく活用することができます。
本サイトでは、AI外観検査のしくみからメリット、初めての導入におすすめの開発会社までをすべて紹介しています。
部品を固定するボルト、ネジ、ナットの座面積を大きくすることで締結部品にかかる面圧を小さくするために使われるワッシャ(座金)。製造方法は板材からプレス加工され、成形後は熱処理や表面処理が行われます。切削や転造でネジ山加工する時にできるバリは仕上刃で除去しますが、ネジ先端部などの細かいところは残ってしまうこともあり、振れや締め付けトラブルの原因になります。
ボルトやネジは線材に塑性、鍛造、転造加工することで作られますが、割れたり欠けたりすることがあり強度の低下や破断の原因になります。インライン上でネジ・ボルトの寸法測定・外観検査が同時に実施できる画像センサーを使うことで全数検査による漏れや不良品の流出を防止します。
ICやLSIなどの半導体パッケージに使用されるリードフレームは、ICチップを支持固定し外部配線と接続をする金属製の薄板でパッケージの外側に出ているリード端子部分です。
製造工程でリードフレームとパッケージ本体の間に樹脂(バリ)が残ってしまったり、パッケージが欠けたり割れたりすることもあります。外観検査には複数のツールを使った複雑な演算が必要となります。
エンジンやギヤのオイル漏れ防止、外部からのホコリ侵入防止のために使用されるオイルシールでは輪郭検査(測定)が必要になります。オイルシールにはOリング、リップパッキン、グランドパッキン、メカニカルシール、ガスケットなどがあり素材にはゴム、金属、樹脂などが使われます。
一般的な製造工程は「金型成形」で原材料のゴムを高温に加熱した金型で挟み加圧してリング状に成形しますが、型からはみ出るバリが発生します。また成形時に歪んだり、製品を金型から取り出すときに力がかかったりすると割れ・欠けが発生します。外観検査では部品や製品の表面にバリ、欠けなど外観上の欠陥を確認し良否判定を行いますが、形状が不均一なので検査の自動化が難しく、これまでは目視検査に頼らざるを得ませんでした。
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AI外観検査は、製品や開発会社によって自動化できる対応領域が異なります。
ここでは、自動化したい範囲に合わせておすすめの開発会社を紹介しています。
品質の一定化やヒューマンエラーに課題を感じる企業におすすめ。定量化しづらく、思わず人の判断に頼ってしまっている検査項目も丁寧に検証し、細かく定量化したうえでAIに判断させることが可能。
自社固有の要件をしっかりと採り入れて検査ラインを構築できます。
単純作業に人的工数がかかっている企業におすすめ。AIベンダーが保有する既存のAIパッケージに対して、自社の要件に合わせて判断基準をカスタマイズすることで、これまで統一化されていた判断が可能。
誰でも検査が可能であった項目を自動化することができ、オーダーメイドに比べて比較的短期間で導入できます。
検査そのものの工数から削減し、社員の負担を減らしたい企業におすすめ。画像データを基に、定量化した判定が可能。細かなカスタマイズの対応は難しいものの、比較的低価格で導入することができます。
異常判定が出た部品のみ目視で検査するなど、目視と自動化を使い分けて活用することが可能です。
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