近年の製造現場では従来の目視検査の代わりに、最新の画像検査装置を活用して業務を効率化する事例が増えています。製造業を支える画像検査装置は、カメラと画像処理システムから構成されています。
本記事では、画像検査装置の種類や仕組み、選び方について紹介します。
画像処理とは、CCDカメラで取り込んだ画像を処理装置に送り、様々な検査を行うプロセスを指します。外観検査で画像処理が活用される主な次のとおりです。
画像処理でははじめにCCDカメラで対象物を撮影し、取り込んだ画像を加工することによってキズやゆがみなどの欠陥を浮き上がらせます。この処理は前処理フィルターと呼ばれ、膨張、収縮、平滑化、メディアン、エッジ抽出、色抽出などの目的に応じて異なるフィルターを使用します。
前処理が完了したら、画像処理に進みます。画像処理の代表的な方法には、二値化処理(カラー)、濃淡処理、パターンサーチ、エッジ検出の4種類があります。それぞれの方法の特徴は次のとおりです。
二値化処理(カラー) |
画像中から特定の色範囲のみを抽出する方法。 |
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濃淡処理 | 指定した明るさに基づいて、カラー情報を黒・グレー・白の256階調に変換する方法。 |
パターンサーチ | 基準となる画像に基づいて、類似する画像の位置や一致度を判定する方法。 |
エッジ検出 | 画像内の明暗の境界を検出する方法 |
画像検査装置で使用するCCDカメラには、主にエリアセンサーもしくはラインセンサーのいずれかが搭載されています。ここではエリアセンサーカメラとラインセンサーカメラそれぞれの特徴と選び方について紹介します。
エリアセンサーカメラはCCD素子が縦横方向に並んだカメラで、画像処理で広く活用されている撮影方法です。対象物を二次元的に撮影するため面状の対象物を撮影する際に適しています。
エリアセンサーカメラの画素数は30万画素(640×480画素)から500万画素程度(2456×2058画素)が一般的で、最大では2000万画素(5344×4008画素)のカメラもあります。カメラによって撮影できる画像サイズが異なり、ストロボ照明を使えば動く対象物の撮影も可能です。
ラインセンサーカメラはCCD素子が横一列に並んだカメラです。エリアセンサーカメラとは異なり、ラインセンサーカメラは一次元的な画像しか撮影できないため、対象物を線状に撮影したい場面に適しています。
ラインセンサーカメラもしくは撮影する対象物を一定方向に動かしながら、スキャナーのように線状の画像を連続的に取得することによって、展開図のような画像が取得できます。画像サイズは移動する方向に対して自由に設定できるため、エリアセンサーカメラよりも大きな対象物の撮影に適しています。
近年では品質管理や作業効率化の観点から、多くの製造現場で画像検査装置が導入されています。そのなかでも特に注目を集めているのが、AI技術を活用した外観検査装置です。AI外観検査装置には、機械が自ら学習するディープラーニング技術が搭載されており、高精度かつ効率的な画像処理や異常検知が可能です。
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異常判定が出た部品のみ目視で検査するなど、目視と自動化を使い分けて活用することが可能です。
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