AI外観検査導入マニュアル -がいかん DX-
AI外観検査導入マニュアル -がいかん DX- » 目視検査とは » 排除装置

排除装置

排除装置とは

排除装置とは、製造ライン上で不良品を検出した際に、その不良品を自動的に排除(除去)する装置のことを指します。製品の品質を一定に保つために重要な役割を果たします。

排除装置の種類

排除装置の種類としては、以下のようなものがあります。

フリッパ方式

フリッパ方式排除装置は、製品の品質検査後に不良品を選別するシステムです。製品がコンベヤ上を移動する際、センサーで検出された不良品に対して、フリッパ(小さな可動式のアーム)が作動し、製品を正品と不良品に分けるための特定のレーンへと迅速に振り分けます。この装置は高速かつ正確な選別が可能で、生産効率の向上に寄与すると同時に、人的ミスを削減する特徴を持ちます。

ドロップアウト方式

ドロップアウト方式排除装置は、品質検査を経て不良品と判断された製品を自動的に排除するシステムです。コンベヤ上を移動する製品に対し、センサーやカメラで不良を検出した際、その部分のコンベヤが開くか、またはカギ形のアームが作動して不良品を直接下方へ落下させます。この方法は単純でメンテナンスが容易であり、高速で連続した生産ラインにおいてもスムーズな選別を可能にする特徴があります。

アップアウト方式

アップアウト方式排除装置は、不良品を検出した際に、製品を持ち上げて別のレーンに移動させる機構です。この装置は、検査後の製品を精密に選別し、持ち上げる動作によって正品と不良品を物理的に分離します。特に、製品に直接触れずに排除するための衛生的な処理や、優れた選別精度が求められる場合に有効です。また、機械的なシンプルさから高い信頼性と低メンテナンスを特徴としています。

エアージェット方式

エアージェット方式排除装置は、品質検査で不良品と判定された製品を高速のエアージェット(圧縮空気)で吹き飛ばし、選別するシステムです。この装置は、非接触で製品を排除するため衛生的であり、また、軽量で小さな製品の選別に特に適しています。高速かつ正確な動作が可能で、連続生産ラインに容易に組み込むことができるため、生産効率を大幅に向上させることができます。

トリップ方式

トリップ方式排除装置は、不良品を検出すると、機械的なトリガー(トリップ)を作動させて製品を排除するシステムです。この装置は、特定のポイントで製品を物理的に押し出すか、導いて排除レーンへ移動させることで、選別を行います。シンプルな構造で堅牢性が高く、定期的なメンテナンスが少なくて済むため、連続稼働する製造ラインに適しており、確実な排除動作を持つことが特徴です。

プッシャー方式

プッシャー方式排除装置は、品質検査で不良と判断された製品を、物理的なプッシャー(押し出し機構)を用いて選別ラインから押し出し、排除するシステムです。この方式は、堅牢で信頼性が高く、簡単な構造であるためメンテナンスが容易で、特に重量がある製品や、高い精度での迅速な排除が求められる場合に効果的です。

ターニング方式

ターニング方式排除装置は、不良品を検出した際に回転するアームを用いて製品を選別ラインから転移させるシステムです。この方法は、製品を優しくかつ確実に別の方向に導くことができ、特に壊れやすいまたは形状が複雑な製品に適しており、連続生産ラインにおけるスムーズな選別作業に寄与します。

キャリア方式

キャリア方式排除装置は、不良品を運搬ベルトやトレイ(キャリア)に乗せて搬送し、品質検査後に特定の位置でキャリアごと製品を排出するシステムです。この装置は、製品に直接触れることなく、特に重量物や大きな製品の取り扱いに適しており、搬送中の製品安定性を保ちつつ、効率的に選別を行うことができる特徴があります。

シュート方式

シュート方式排除装置は、品質検査で不良品と判定されたアイテムを、傾斜したシュートを通じて別の受け容器へと直接滑らせて排除するシステムです。この装置は単純でコスト効率が良く、重力を利用して迅速にアイテムを分けることができ、特に形状が一定で滑りやすい製品の選別に適しています。

シャトル方式

シャトル方式排除装置は、不良品を検出すると、移動式のプラットフォーム(シャトル)が製品を受け取り、適切な位置へと横移動させて排除するシステムです。この方式は特に柔軟性が高く、様々なサイズや形状の製品を正確に選別できるため、複数の排除ポイントが必要な複雑な生産ラインに適しています。

以上の排除装置は、製品の形状、大きさ、重さ、製造ラインの速度などにより、最適なものが選ばれます。

排除装置の選び方

排除装置は、以下の要素を考慮することで不良品を自動的に排除(除去)することができます。ここでは、排除装置の選び方を解説します。

製品の特性

排除装置を選ぶ際には、製品の大きさ、形状、重量、素材などの特性を考慮する必要があります。例えば、軽量かつ小さな製品にはエアージェット方式が適している一方で、重い製品にはプッシャーやシャトル方式の方が効果的です。また、製品の繊細さに応じて、非接触式の排除方法を選ぶことが重要です。適切な排除装置を選定することで、製品を損傷することなく効率的に選別作業を行うことができます。

製造ラインの速度

製造ラインの速度に合わせた排除装置の選定は、効率的な生産フローを維持するために重要です。高速ラインには迅速に反応し、連続運転に耐える耐久性のある排除装置が必要です。例えば、エアージェットや高速アクチュエーターを備えた装置は、素早い選別が求められる場合に適しています。ラインの速度に見合った装置を選ぶことで、生産の遅延を防ぎ、全体の生産性を高めることができます。

不良品の種類と頻度

不不良品の種類と発生頻度を考慮して排除装置を選ぶ際には、不良の特性に応じた精度と速度を備えたシステムが求められます。頻繁に大量の不良品が発生する場合は迅速に対応できる高速装置が、稀にしか発生しない特殊な不良には特定の条件下で確実に選別できる精密な装置が適しています。

設置スペース

設置スペースを考慮した排除装置の選定では、利用可能なエリアの大きさと形状を把握し、装置の物理的な寸法が製造ラインに適合するかを検討します。狭いスペースにはコンパクトな設計の装置を、より広いスペースがある場合は、大きな製品や高い処理能力を要する装置を選ぶことが重要です。適切なサイズの装置を選ぶことで、スペースを有効活用し、効率的な運用を実現できます。

コスト

コストを考慮した排除装置の選定では、初期投資のみならず、運用コストやメンテナンス費用も評価します。低コストで導入できるシンプルな装置から、高性能だが価格が高い装置まで、予算内で最大の効果を得られる機種を選ぶことが肝心です。また、装置の耐久性や故障率を考慮し、長期的なコストパフォーマンスを見極めることが重要です。

上記の要素を総合的に考慮し、製品の特性や製造環境に最も適した排除装置を選ぶことが重要です。

AI外観検査とコンベア・排除装置の連携による
品質管理の効率化

製造業において、AI外観検査とコンベア・排除装置の連携は品質管理を効率化し、自動化するための重要な要素です。

AI外観検査

AI外観検査は、製品の画像をリアルタイムで分析し、不良品を即座に特定します。この情報をコンベアシステムに連携させ、排除装置が正確に不良品を除去。この自動化プロセスにより、検査の速度と精度が飛躍的に向上し、従来の手作業による検査よりも遥かに効率的な品質管理を実現し、生産ラインの停止時間の短縮とコスト削減に寄与します。

コンベア

コンベアは製品を連続的に搬送し、AI外観検査システムが不良品を検出すると、その情報を即座に排除装置に伝達します。排除装置は検出された不良品を迅速に選別し、コンベアから除去します。このシームレスな連携により、検査から排除までのプロセスが自動化され、手作業による検査や手動での選別に比べて、時間と労力を大幅に削減し、全体の生産効率を向上させることができます。

排除装置

排除装置はAI外観検査からのデータを受け取り、不良品をリアルタイムで識別。コンベア上の製品を精確に分類し、良品と不良品を自動的に分けることで、品質管理の手間を削減し、検査プロセスの迅速化と正確性の向上を実現します。これにより、製造ラインの効率と製品の品質が同時に高まります。

上記の連携により、人間の目視検査に比べて高速かつ高精度な品質管理が実現できます。さらに、人的ミスを減らし、労働力の節約にも寄与します。

目視検査
関する記事一覧はこちら

【目的別】
初めての導入におすすめの
AI外観検査3選

AI外観検査の中から、初めての導入におすすめのAI外観検査開発会社をピックアップ。
AI外観検査は、製品や開発会社によって自動化できる対応領域が異なります。
ここでは、自動化したい範囲に合わせておすすめの開発会社を紹介しています。

曖昧な差異や傷も綿密に自動化したいなら
製品の品質担保まで
綿密に自動化したいなら
曖昧な差異や傷も細かく検知できる「オーダーメイド」の
AI外観検査がおすすめ

品質の一定化やヒューマンエラーに課題を感じる企業におすすめ。定量化しづらく、思わず人の判断に頼ってしまっている検査項目も丁寧に検証し、細かく定量化したうえでAIに判断させることが可能。
自社固有の要件をしっかりと採り入れて検査ラインを構築できます。

おすすめの企業
「システムインテグレータ」の
公式HPを見る

単純な検査からまずは自動化したいなら
単純な検査から
まずは⾃動化したいなら
検査項目のカスタマイズもできる
パッケージ型」のAI外観検査がおすすめ

単純作業に人的工数がかかっている企業におすすめ。AIベンダーが保有する既存のAIパッケージに対して、自社の要件に合わせて判断基準をカスタマイズすることで、これまで統一化されていた判断が可能。

誰でも検査が可能であった項目を自動化することができ、オーダーメイドに比べて比較的短期間で導入できます。

おすすめの企業
「マクニカ」の公式HPを見る

目視検査のサポートとして一部自動化したいなら
目視検査のサポートとして
一部自動化したいなら
低価格で導入できる
AI機能付き検査カメラ」がおすすめ

検査そのものの工数から削減し、社員の負担を減らしたい企業におすすめ。画像データを基に、定量化した判定が可能。細かなカスタマイズの対応は難しいものの、比較的低価格で導入することができます。
異常判定が出た部品のみ目視で検査するなど、目視と自動化を使い分けて活用することが可能です。

おすすめの企業「オムロン」の公式HPを見る

2023/4/23時点、Google検索にて「AI外観検査」と検索し、表示された企業のうち、初めての企業でも安心のサポートを提供できる企業として以下3つの内容が公式HPに掲載されている企業をピックアップ。
・撮像の        サポートがあるか
・サーバ・カメラ・照明等のハードウェアの提供
・導入後の運用サポートがあるか        
ピックアップされた企業を「AI機能付き検査カメラ」「パッケージ型」「オーダーメイド」のシステムを提供する企業に分類し、それぞれの項目から条件に当てはまる企業を厳選しています。
「パッケージ型」のみ条件に当てはまる企業が複数社あるため、その中でも「パッケージ型」の特徴である効率的なAI構築に特化している企業として、「撮像」「判定」「運用」の3つのノウハウを統合したワンストップソリューションを提供する「マクニカ」をピックアップしています。