自動外観検査システムを導入する際、画像処理装置を例として、一般に必要となる機器について解説します。人が行う外観検査では、目視確認をして、頭の中で検査基準から異常の有無を判断します。これに対して、自動化の場合は、照明で照らされたワークの状態を撮像して、その画像を画像処理装置に送信し、送信先の画像処理装置で、処理した画像からOKかNGを判断します。この流れで使用する機器は、照明、レンズ、CCDカメラ、画像処理装置です。
画像処理検査でも重要な検査対象物の撮像で、カメラは大切な要素の1つです。撮像方式には、エリアセンサとラインセンサの2つがあります。エリアセンサは、画像処理検査で一般的に用いられる撮像方式であり、2次元の画像が得られます。ラインセンサは、スキャナやコピー機と同じ原理で、1次元の画像を連続的に取得して2次元の画像を構成します。カラーカメラは色収差や照明の色の制限があるため、画像処理では、モノクロカメラがよく使われます。対象物の色違いの検出や色むらの判定には、カラーカメラを使用します。モノクロカメラに比べて、カラーカメラのデータ量は3倍なので、高性能な画像処理装置が必要です。
画像処理では、画素濃度データの変化を計算して検出するため、安定検出には明確な画像を映すことが必要です。そのため、レンズの選定は、画像処理の検査性能を決定する大きな要因になります。カメラ用レンズは、複数のレンズと絞り/ピント調整機構から構成されています。絞り(明るさ)調整とピント調整は、モニタ画面を見ながら行い、撮像対象物に必要な視野とレンズの焦点距離から、焦点の合う位置を求めます。用途により高解像度レンズを選択することで、コントラストに優れた画像が得られます。
照射パターンを変えるだけで、取り込む画像のコントラストに大きな影響を与えるため、照明技術は、画像処理の成功の大きな要因となります。検査対象物に合った照射方法、波長、形状など、検査に合った照明の選定が必要です。選定のポイントは、照明の当て方、照明方法・形状、照明の色(波長)の3つです。照明の当て方には、正反射・拡散反射・透過の3通りがあり、形状と検査用途から判断して選択します。最後に、ワークと背景に合わせて照明の色を決めます。
製品の製造工程で必要とされる外観検査を行うために、より条件に合ったシステムを構築する場合は、テスト用機器の貸し出しを行っており、サポート体制が確立しているメーカーに相談することを推奨します。
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AI外観検査は、製品や開発会社によって自動化できる対応領域が異なります。
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検査そのものの工数から削減し、社員の負担を減らしたい企業におすすめ。画像データを基に、定量化した判定が可能。細かなカスタマイズの対応は難しいものの、比較的低価格で導入することができます。
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