「外観検査の自動化によるメリットって何?」「鋳物・溶接品製造の外観検査を自動化した事例についても知りたい」と思っている方もいることでしょう。
当記事では、鋳物・溶接品製造における検査の課題や外観検査を自動化することによるメリット、実際の事例などについて詳しく紹介していきます。外観検査システム・機器の導入を検討している企業の担当の方は、ぜひ参考にしてください。
鋳物・溶接品製造における検査の課題には、どのようなことが考えられるのがチェックしていきたいと思います。
鋳造業界では、特に大きさが小さいものや中くらいサイズの大ロットの担い手が少ないという構造的問題を抱えています。それとは別に、溶接業界における溶接技能者認定者数の推移を見た限りでは、現場の技術者数は横ばいだと言われています。
出荷数を確認すると、溶接作業のニーズには少し波がある状況です。景気の動きによっては溶接におけるそれぞれの工程で、技術者の労働力の需要が増大する可能性があり、それに備えて職人の技術を継承する手段が必要です。
スタッフによる目視検査に依存している傾向があります。検査時間を抑えながらもすべての検査が可能なので、この方法を採用している企業が多いのが現状です。
近年自動車部品は、生産効率と安全性の向上によって、大型でありなおかつ複雑な構造になってきているため、検査スタッフにかかる負担が大きくなりやすいと言われています。
しかし、検査スタッフを増やすと検査可能な数量は増えますが、スタッフの習熟度に差が生じやすく、検査の品質にバラつきが見られる可能性が出てしまうのです。
比較的短い時間で検査を実施しなければいけない現状の中、トレーサビリティ管理も万全な状況ではありません。
例えば、それぞれの溶接ビードの溶接長を計測して寸法記録を残す、と言った作業を全数実施するのは、要する時間から考えても現実的とは言えず、抜き取り検査で行われることが多いと言われています。
次に、外観検査を自動化することでどのようなメリットを得られるのか説明していきます。
外観検査の精度が安定しやすいというメリットがあります。専用のソフトウエアを用いてOKかNGの判定を行うため、判定結果のバラつきが少なくて済み、品質が安定しやすいと言われているのです。
検査機によっては、検査を実施した際の計測データを保存することが可能です。この検査データを活用することで、IoTや予防保全に役立つと言われています。なお、保存可能なデータは、溶接ビードごとの良否判定結果だけであるのか、数値データまで残せるのか、データを外部に出力することは可能なのか、メーカーによって違うため、あらかじめ確認しておくと望ましいです。
外観検査をメインに、多関節ロボットを採用して溶接部分を自動でスキャンし、付属されている専用ソフトウエアで解析を行い、OKまたはNGの判定結果を出力するタイプのものがあります。
上記のものを採用すると、検査品質の安定化を目指せたり検査工程の無駄を省いて人員を減らしたりするなどのメリットが期待できるのです。
ここでは、鋳物・溶接品製造の外観検査を自動化することのメリットなどを紹介していきます。
装置を導入することによって、クライアントと品質基準の線引きを実施すると、今まで不明瞭だった検査基準を明確にでき、品質の安定化に繋がります。
目視検査だと、検査スタッフや担当者によって検査の基準が異なることがあります。検査基準とそれに基づく検査結果を、画像を用いて見える化することによって、過剰に品質を求められることが少なくなりやすいです。
目視検査では重大な欠陥が流出してしまうことがありましたが、装置の導入によって見逃しが軽減できるのが利点の1つ。
参照元:株式会社SCREENホールディングス公式HP(http://www.lulimo.com/customer_voice/)
対象ワークが複雑な形状の場合でも、自動的に検査範囲を作成して検査を実施します。バラツキがある状態でも、検査範囲の学習にプラスして、自動的に範囲を作ることにより、良品錯誤を軽減しやすいのです。
参照元:株式会社エム・アイ・エル公式HP(https://www.mil-mail.co.jp/inspection/kinzoku/)
溶接外観検査ソリューション「Bead Eye(ビードアイ)」という外観検査機器は、2020年5月27日パナソニックから発売されました。スキャナーを装着しているパナソニックのロボットであり、溶接ビードをスキャンして、その画像を用いて検査判定を行うのが特徴。
学習済みAIによる「AI検査」と、リンクウィズの3次元データ解析技術を用いた「良品比較検査」を同時に行えるのがほかの競合機器との大きな違いです。
この危機を採用すると、溶接欠陥の多い箇所をデータから分析も行えるので、溶接条件の見直しを行って溶接作業などの前工程にフィードバックをすることで、生産性と品質の向上を目指せるのが魅力でしょう。
ディープラーニング(深層学習)技術を活用したAI外観検査は、従来の目視検査に代わる新たな検査手法です。AI外観検査の導入により検査精度が向上すれば、検査工数や人的コストを削減できます。また、検査員の作業負担が軽減される、生産性が向上するなど、従来の目視検査が抱えてきた課題の解決につながります。
AI外観検査の中から、初めての導入におすすめのAI外観検査開発会社をピックアップ。
AI外観検査は、製品や開発会社によって自動化できる対応領域が異なります。
ここでは、自動化したい範囲に合わせておすすめの開発会社を紹介しています。
品質の一定化やヒューマンエラーに課題を感じる企業におすすめ。定量化しづらく、思わず人の判断に頼ってしまっている検査項目も丁寧に検証し、細かく定量化したうえでAIに判断させることが可能。
自社固有の要件をしっかりと採り入れて検査ラインを構築できます。
単純作業に人的工数がかかっている企業におすすめ。AIベンダーが保有する既存のAIパッケージに対して、自社の要件に合わせて判断基準をカスタマイズすることで、これまで統一化されていた判断が可能。
誰でも検査が可能であった項目を自動化することができ、オーダーメイドに比べて比較的短期間で導入できます。
検査そのものの工数から削減し、社員の負担を減らしたい企業におすすめ。画像データを基に、定量化した判定が可能。細かなカスタマイズの対応は難しいものの、比較的低価格で導入することができます。
異常判定が出た部品のみ目視で検査するなど、目視と自動化を使い分けて活用することが可能です。
2023/4/23時点、Google検索にて「AI外観検査」と検索し、表示された企業のうち、初めての企業でも安心のサポートを提供できる企業として以下3つの内容が公式HPに掲載されている企業をピックアップ。
・撮像の
サポートがあるか
・サーバ・カメラ・照明等のハードウェアの提供
・導入後の運用サポートがあるか
ピックアップされた企業を「AI機能付き検査カメラ」「パッケージ型」「オーダーメイド」のシステムを提供する企業に分類し、それぞれの項目から条件に当てはまる企業を厳選しています。
「パッケージ型」のみ条件に当てはまる企業が複数社あるため、その中でも「パッケージ型」の特徴である効率的なAI構築に特化している企業として、「撮像」「判定」「運用」の3つのノウハウを統合したワンストップソリューションを提供する「マクニカ」をピックアップしています。