モノづくりにおいて部品や製品の品質を守るために大事なことは仕様通りに作られていて外観に不具合がないということです。仕様については機能検査で確認しますが外観については外観検査で確認します。
外観検査の中で変色検査(色検査)は色むら、色抜け、印刷抜け、変色、色の判別などを行いますが、塗装面の色があっているか、製品が熱などで変色していないかチェックすることは品質や安全面の上からも重要なことです。
製品の色違い、色ムラ、ツヤなどを検査する変色検査は、画像センサーを用いて自動化するケースが一般的です。
あらかじめ製品の画像を撮影し、さまざまな計算テクニックを用いて、対象物の特徴量を抽出します。
特徴量には長さ、面積、重心、位置、色差、濃淡、類似度などが含まれます。
例えば、エッジ検出では、色や明るさの変化がしきい値よりも大きい部分をエッジとして認識し、その長さや面積、位置、エッジの数などが求られます。色差がしきい値よりも大きいエレメントが存在する場合、それはキズや汚れ、異物によるものと判断できます。
現在の外観検査現場では、ルールベース検査が主流です。ルールベース手法では、検査員が事前に外観の異常や不良の特徴に関するルールを定義したうえで、センサー技術を駆使して製品の外観を検査・判定します。
変色検査では、主に画像センサーが使用されます。画像処理システムを活用した色検査では、画像センサーで撮影したデータを解析して変色や色ムラ色調の違いを判定します。膨大な量の色彩演算もリアルタイムで処理できるため、製造ライン上での高速処理が実現できます。
製造業界で年々厳しさを増す品質要求を背景に、ディープラーニング技術を駆使したAI外観検査が普及しつつあります。AI外観検査はルールベース検査と同様に、カメラで撮影した画像をベースに異常稼働かを判別します。
ただしルールベース検査と異なり、AI外観検査ではオブジェクト検出AIはさまざまな位置や向きの対象物を学習し、自動的に位置修正や異常判定を行います。AI外観検査は検査精度のムラを減らし、検査を効率化するのに効果的な手法です。
これまで樹脂成形品などの変色検査は目視検査で行われていましたが、変色の発見が難しいだけでなく検査員による精度のばらつきも問題になっていました。また従来の画像処理システムは光沢のある表面の変色検知が不可能でした。
自動外観検査装置の画像処理システムに搭載されたマルチスペクトル照明なら従来のカラーセンサでは検出困難だった微小な色ムラ、わずかな色の違いも検出可能。高速白黒カメラと8波長のLED照明を使うことで、これまでのRGBカラーカメラと比べてカラー判別能力が大幅アップ。
わずかな色の違いも正確に簡単に判別できハレーションや凹凸の影響なく変色検査ができるようになりました。
画像処理システムを活用した色検査ではセンサーで撮影した画像データを解析して変色や色ムラ色調の違いを判定します。膨大な量の色彩演算もリアルタイム処理できライン上での高速処理が実現できます。
検査方法は、まずセンサーで対象物を撮影し画像データから検査に必要な部分のみ切り出します。切り出した画像からノイズを除去し鮮明な画像に補正、対象物の色を測定し基準に適合しているか判定します。
ディープラーニング(深層学習)技術を活用したAI外観検査は、従来の目視検査に代わる新たな検査手法です。AI外観検査の導入により検査精度が向上すれば、検査工数や人的コストを削減できます。また、検査員の作業負担が軽減される、生産性が向上するなど、従来の目視検査が抱えてきた課題の解決につながります。
これまで人の目で確認していた外観検査を自動化できる「AI外観検査」。とにかく外観検査を省人化したい企業も、自動化して自社製品の品質を担保できるか心配な企業も、AI外観検査の導入前に仕組みを理解したうえで導入することで、うまく活用することができます。
本サイトでは、AI外観検査のしくみからメリット、初めての導入におすすめの開発会社までをすべて紹介しています。
清涼飲料などのペットボトル製品に使用されている樹脂製ボトルキャップはポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)からできています。原材料を溶かし金型に送り込んで冷やす射出成形(インジェクション成形)で製造されますが、樹脂製品なので変色などの不良が起こります。
従来の目視検査が抱えてきた課題の解決に画像処理システムのマルチスペクトル照明を用いることで、従来のカラーセンサでは検出困難だった微小な色ムラ、わずかな色の違いも検出できるようになりました。
食品の容器には耐熱PSP(耐熱ポリスチレン)や合成樹脂が使われていますが、容器成型中の温度変化によって焦げたり焼けたりすることが良く起こります。合成樹脂は限度以上に加熱すると変色し、さらに過熱すると黒くなってしまいます。
これまで変色検査は目視で行われていましたが検査漏れや生産ラインの高速化によって人間の目で検査することが難しくなっていました。最近では高速ラインに対応した専用検査装置や画像処理システムによって検査の自動化が進んでいます。
トマトを利用した食品を製造している工場ではトマトの熟度を色や硬さで判断しています。これまでは人間の目と手で判別を行っていたため検査担当者のスキルによって結果が異なり、時間や労力もかかっていました。
色判別カメラを搭載したAI検査システムを導入してトマトの色味や硬さなどのデータを蓄積し作業者の熟度基準を合わせて機械学習させることでシステムだけでトマトの判別が可能となりました。
AI外観検査の中から、初めての導入におすすめのAI外観検査開発会社をピックアップ。
AI外観検査は、製品や開発会社によって自動化できる対応領域が異なります。
ここでは、自動化したい範囲に合わせておすすめの開発会社を紹介しています。
品質の一定化やヒューマンエラーに課題を感じる企業におすすめ。定量化しづらく、思わず人の判断に頼ってしまっている検査項目も丁寧に検証し、細かく定量化したうえでAIに判断させることが可能。
自社固有の要件をしっかりと採り入れて検査ラインを構築できます。
単純作業に人的工数がかかっている企業におすすめ。AIベンダーが保有する既存のAIパッケージに対して、自社の要件に合わせて判断基準をカスタマイズすることで、これまで統一化されていた判断が可能。
誰でも検査が可能であった項目を自動化することができ、オーダーメイドに比べて比較的短期間で導入できます。
検査そのものの工数から削減し、社員の負担を減らしたい企業におすすめ。画像データを基に、定量化した判定が可能。細かなカスタマイズの対応は難しいものの、比較的低価格で導入することができます。
異常判定が出た部品のみ目視で検査するなど、目視と自動化を使い分けて活用することが可能です。
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