物づくり業界において部品や製品の品質を保つために外観をチェックし、欠陥やゆがみなどがないか確認する検査を外観検査といい、その目的は品質維持、品質向上、品質保証です。大量の部品や製品を生産すれば一定の不良品が出てしまうので外観検査によって不良品を除去することで品質が保証されます。
不良発生の原因は設計工程や製造工程など様々ですが、外観検査で発見された不良品を検査すれば原因が分析でき、不良が出ないような設計をしたり製造工程を改善したりできます。また不良品発生率が下がれば品質が向上するだけでなくコスト削減や業務効率化にもなります。
そんな外観検査の重要な項目に形状検査があります。製造される部品や製品は設計段階で仕様が決まっていますが、機器の不具合や故障などによって仕様と異なる形状の部品や製品が作られることもあります。部品や製品の形状が仕様通りでない場合は品質が保証されず廃棄されることもあります。
形状検査を自動化する場合は、画像認識技術を用いたテンプレートマッチングが一般的です。テンプレートマッチングでは予め作成したテンプレート画像をシステムに登録し、撮影した画像中に同じ形状が存在するかどうかを検出します。
画像処理アルゴリズムやパターン認識技術を組み合わせることで、形状の欠陥や歪み、寸法のずれなどを自動で検出し、効率的に不良品を判別できるようになります。
現在の外観検査現場では、ルールベース検査が主流です。ルールベース手法では、検査員が事前に外観の異常や不良の特徴に関するルールを定義したうえで、センサー技術を駆使して製品の外観を検査・判定します。
形状検査の手法としては、主に画像認識技術に基づいたパターンマッチングが採用されています。不合格となる画像パターンを事前に設定し、対象画像中に事前登録したパターンと同じ形状があるかどうかチェックします。
近年は形状検査を自動化するうえで、AIのディープラーニングを活用する事例が増えています。従来の外観検査では属人的になりがちだった検査項目も、AIによって数値化することで再現性の高い検査が可能になります。
ただし、人の手で厳格に検査ルールを設定するルールベース外観検査に比べると、AI外観検査はまだまだ精度が劣るのも実情です。製品の特性や品質ポリシーに応じて、ルールベース検査とAI検査を併用する必要があります。
これまで形状検査は検査員の目視によって行われることが多かったのですが、判断基準が曖昧になりやすく検査員ごとに結果が違うということが少なくありませんでした。また形状を図るゲージなどを使って検査することもありますが微妙な誤差が生じることもありました。
画像認識技術の進歩により最近ではパターンマッチング画像検査を使って正確な形状一致検査ができるようになってきています。撮影した対象画像に何が含まれているか、どういう意味があるのかについて認知する「画像認識」は構造認識と形状認識に分類されますが、パターンマッチングは形状認識に分類され対象画像中に事前登録した形状(パターン)と同じものがあるかどうか検出します。
部品や製品の外観検査では不合格となる画像パターンを事前に設定しておきパターンマッチングで類似性の高い外観を検出して合否判定を行います。
パターンマッチングで一般的な方法はテンプレートマッチングです。これは事前にテンプレート(型紙)となる画像を画素単位で作成し登録しておき、撮影した画像中に同じものが存在するかどうかを検出する方法です。
具体的な方法はテンプレートを撮影した画像上で移動させながら、類似点(似ているところ)や相違点(似ていないところ)を測り類似性の高い画像を探し出していきます。つまり画像処理データから機械的に製品の合否判定が可能となるわけです。
ディープラーニング(深層学習)技術を活用したAI外観検査は、従来の目視検査に代わる新たな検査手法です。AI外観検査の導入により検査精度が向上すれば、検査工数や人的コストを削減できます。
また、検査員の作業負担が軽減される、生産性が向上するなど、従来の目視検査が抱えてきた課題の解決につながります。
これまで人の目で確認していた外観検査を自動化できる「AI外観検査」。とにかく外観検査を省人化したい企業も、自動化して自社製品の品質を担保できるか心配な企業も、AI外観検査の導入前に仕組みを理解したうえで導入することで、うまく活用することができます。
本サイトでは、AI外観検査のしくみからメリット、初めての導入におすすめの開発会社までをすべて紹介しています。
自動車のタイヤや時計の歯車など回転するものを支える軸受(ベアリング)は回転部分の摩擦を減らしてスムーズな動きを実現する重要な役目を持つ部品です。業界を問わず幅広く利用されていますが、製造工程で異物が付着したり、熱収縮して穴ができたり、傷がついたりすることがあります。
ベアリングに傷などができると油膜が保持できなくなり焼付きなどを引き起こすリスクが高くなります。これまで傷などの外観検査は目視に頼っていましたが全数検査が難しく品質を完全に保証できませんでした。しかしパターンマッチングの形状検査によって簡単に外観検査ができるようになりました。
食品や医薬品のパッケージには消費期限(賞味期限)を印字することが義務づけられています。消費者の安全を守るためにも印字ミスは許されず、もし正しい印字がされていなければ信用問題にもつながり企業の進退にもかかわってきます。
消費期限は所定の位置に印字する必要がありますがプリンタやマーカにトラブルがあったりすると印字場所がずれてしまうこともあります。これまで印字ずれ検査は目視でおこなってきましたが全数検査は難しく検査員によって判定が異なることもありました。最近では画像処理システムのパターンマッチングで正確に全数検査できるようになっています。
半導体パッケージは集積回路(IC)や半導体素子や樹脂で包んでゴミなどから保護し端子から電気信号の伝達を行う包装部材ですが、製造工程で良よくおこる不良に割れや欠けがあります。
これまで半導体パッケージの外観検査や寸法検査はノギスやマイクロメータ等を利用して人手で行っていましたが小型・薄型化によって測定が困難になり、人による測定は誤差も大きくばらつきが発生するという問題もありました。最近では自動外観検査システムのパターンマッチングによって確実で正確な外観検査ができるようになっています。
AI外観検査の中から、初めての導入におすすめのAI外観検査開発会社をピックアップ。
AI外観検査は、製品や開発会社によって自動化できる対応領域が異なります。
ここでは、自動化したい範囲に合わせておすすめの開発会社を紹介しています。
品質の一定化やヒューマンエラーに課題を感じる企業におすすめ。定量化しづらく、思わず人の判断に頼ってしまっている検査項目も丁寧に検証し、細かく定量化したうえでAIに判断させることが可能。
自社固有の要件をしっかりと採り入れて検査ラインを構築できます。
単純作業に人的工数がかかっている企業におすすめ。AIベンダーが保有する既存のAIパッケージに対して、自社の要件に合わせて判断基準をカスタマイズすることで、これまで統一化されていた判断が可能。
誰でも検査が可能であった項目を自動化することができ、オーダーメイドに比べて比較的短期間で導入できます。
検査そのものの工数から削減し、社員の負担を減らしたい企業におすすめ。画像データを基に、定量化した判定が可能。細かなカスタマイズの対応は難しいものの、比較的低価格で導入することができます。
異常判定が出た部品のみ目視で検査するなど、目視と自動化を使い分けて活用することが可能です。
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・撮像の
サポートがあるか
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「パッケージ型」のみ条件に当てはまる企業が複数社あるため、その中でも「パッケージ型」の特徴である効率的なAI構築に特化している企業として、「撮像」「判定」「運用」の3つのノウハウを統合したワンストップソリューションを提供する「マクニカ」をピックアップしています。