AI外観検査の導入は導入前の企画設計に始まり、コストの見積もり、モデル構築、製造現場での運用といったステップを踏みます。
ここでは初めてAI外観検査を導入する製造業者に向けて、導入の手順を解説します
AI外観検査の流れは、次の3ステップに分けられます。
それぞれの手順について、詳しく紹介します。
AI外観検査を導入する際は、あらかじめ導入の目的やスケジュール、予算などの要素を細かく計画しておく必要があります。導入前の企画を怠ってしまうと、導入遅延やスペック不足、予算オーバーなどのリスクが高まります。AI外観検査を効果的に運用するためにも、企画段階で明確な目標を設定しておきましょう。
はじめにAI外観検査の導入範囲を明確化します。どの製品の検査をAIで自動化するのか決め、検査工程を再設計しましょう。
AIと聞くと、全ての作業を自動化できるように思うかもしれません。しかし、AIのディープラーニングも人間と同様にミスをすることがあります。また、AI技術の運用に不慣れな企業の場合は、装置の操作に慣れるまでに時間が必要です。全ての検品作業をAIで無理やり自動化するのではなく、AIの導入効果や実現可能性を考慮したうえでどの作業を自動化するのかを決めましょう。
導入目標が決まったら、必要なAI機材をピックアップして費用を概算します。Ai外観検査装置の費用相場は、対象範囲やスペックによって数十万円から数百万円までケースバイケースです。すでに検査機を導入している現場であれば、既存の装置をそのまま使える可能性もあるため、不要なコストは節約しつつ必要な予算を見積もりましょう。
導入するAI機材や費用が決定したら、次のステップはAIモデルの構築です。PoCと呼ばれる概念実証検証を実施し、Ai外観検査の実現可能性やコストパフォーマンスを明確化します。
精度の高いAIモデルを構築するためには、実際の検査現場と同じ条件で対象物の画像を撮影する必要があります。撮影時はカメラのピントや照明の明るさ、製品の大きさを一定に保てるように、撮像環境を整備しておきましょう。
撮影に必要なカメラや固定機具、照明を選ぶ際は、現場の環境や検査対象などを考慮しなければなりません。特にカメラの種類は多岐にわたるので、撮影対象の形状や素材、検出したい異常の種類に応じて最適な機材を選びましょう。
必要な画像データを取得したら、ディープラーニングに画像の特徴を学習させてAIモデルを構築します。一度構築したAIモデルは検証と修正を繰り返し、実際の検査現場に合わせて最適化します。
AIモデルを最適化した後は、いよいよ導入です。検査現場に機材やAIモデルを設置するほか、新しい検査方法や注意点を現場スタッフに周知しましょう。
導入後は判定基準の変更に応じて、適宜モデルを再構築したり、AIに再学習させる必要があります。運用開始後の業務フローをあらかじめ明確にしておくと、導入後のPDCAがスムーズにおこなえます。
近年は外観検査現場にAI技術を導入する事例が増えています。AI外観検査を取り扱う企業は、オーダーメイド対応のSIer、パッケージ型のハードウェアを提供するAIベンダー、カメラを販売する検査カメラメーカーに分かれます。当サイトでは、初めてAI外観検査を導入する製造業者を対象に、おすすめのAI外観検査3選をピックアップして紹介しています。
AI外観検査の中から、初めての導入におすすめのAI外観検査開発会社をピックアップ。
AI外観検査は、製品や開発会社によって自動化できる対応領域が異なります。
ここでは、自動化したい範囲に合わせておすすめの開発会社を紹介しています。
品質の一定化やヒューマンエラーに課題を感じる企業におすすめ。定量化しづらく、思わず人の判断に頼ってしまっている検査項目も丁寧に検証し、細かく定量化したうえでAIに判断させることが可能。
自社固有の要件をしっかりと採り入れて検査ラインを構築できます。
単純作業に人的工数がかかっている企業におすすめ。AIベンダーが保有する既存のAIパッケージに対して、自社の要件に合わせて判断基準をカスタマイズすることで、これまで統一化されていた判断が可能。
誰でも検査が可能であった項目を自動化することができ、オーダーメイドに比べて比較的短期間で導入できます。
検査そのものの工数から削減し、社員の負担を減らしたい企業におすすめ。画像データを基に、定量化した判定が可能。細かなカスタマイズの対応は難しいものの、比較的低価格で導入することができます。
異常判定が出た部品のみ目視で検査するなど、目視と自動化を使い分けて活用することが可能です。
2023/4/23時点、Google検索にて「AI外観検査」と検索し、表示された企業のうち、初めての企業でも安心のサポートを提供できる企業として以下3つの内容が公式HPに掲載されている企業をピックアップ。
・撮像の
サポートがあるか
・サーバ・カメラ・照明等のハードウェアの提供
・導入後の運用サポートがあるか
ピックアップされた企業を「AI機能付き検査カメラ」「パッケージ型」「オーダーメイド」のシステムを提供する企業に分類し、それぞれの項目から条件に当てはまる企業を厳選しています。
「パッケージ型」のみ条件に当てはまる企業が複数社あるため、その中でも「パッケージ型」の特徴である効率的なAI構築に特化している企業として、「撮像」「判定」「運用」の3つのノウハウを統合したワンストップソリューションを提供する「マクニカ」をピックアップしています。